ワーケーショントライアルを実施しました
島根県の離島、隠岐諸島で体感した「アタラシイ働き方」 「ワーケーションってなんなんだろう」 ワーケーションという言葉は聞いたことがあっても、 実際にどのような体験になるのか イメージすることは難しい方が多いのではないでしょうか。 企業として、地域として、何が得られるのか お互いにとってうれしいカタチはどんなものなのか 観光庁 新たな旅のスタイル促進事業におけるトライアルプログラムを体験し、見えてきたコトをレポートします。 「隠岐諸島とは」 隠岐諸島は、日本の中でユネスコ世界ジオパークに認定されている9地域の中の1つ。 ジオパークは、大地の公園すなわち大地の成り立ちを、その地質・文化などから体験できる場所であり、さらに、その場所を持続可能にする取り組みを推進している地域が認定されるものです。 海も含めて認定されている点でいうと、日本で唯一の場所です。(2021年12月時点) ふたりの上皇が流された遠流の島としても知られています。 島流しと言われると、よほどひどい場所なのだろうと思われますが、 都からひとりでは戻ってくることが困難な場所であることのほかに、 実際には、祟りが起こらないよう、 ・都から見て、吉兆の方角にあること ・豊かな食事ができること ・栄えていること これらの条件をクリアしている、豊かな場所でした。 現在でもそれは同じで、 アクセスには不便なところがありますが、 豊かな食・景色・あたたかい人・文化・歴史に溢れた場所、それが隠岐です。 「隠岐諸島の新たな取り組み ー ワーケーション」 そんな隠岐諸島は今、これからの時代に即した新しい働き方を叶える場所になるべく、チャレンジを進めています。 2021年11〜1月に、隠岐諸島の挑戦のひとつ「ワーケーション」をトライアル体験できるモニターツアーが同地域にて開催されました。 モニターツアーから見えてきた、「ワーケーション」について、さらに深掘りしていきます。 「ワーケーションにあらわれるニーズの個人差」 ワーケーショントライアルでは、景観の良い場所でのワークに加え、西ノ島町の摩天崖や、隠岐の島町のテントサウナ・島暮らし体験、海士町のアロマクラフト・料理体験など様々なコンテンツが盛り込まれました。 普段からテレワークを実施しているエンジニアの方は、生活リズムが整うことで生産性が上がったことを評価し、体験はそこまで不要と話されたり 経営者の方は、チームビルディングになったことを評価し、簡単なチームビルディングの体験コンテンツがあれば、あとは一緒の場所でワークができる時間があれば良いと話されたり 地方移住に興味が有られるデザイナーの方は、クリエイティビティが向上したと共に、ここで暮らしたらどうなるか、生活体験を長期滞在を通して体験したいと話されました。 3者3様のニーズがありますが、整理してみると大まかに2種類の型に分けられました。 ①企業合宿型:企業メリット(チームビルディング・地域理解・福利厚生(採用有利化))を優先ー旅費は企業負担。管理者の承認が必要。 ②個人型:個人メリット(観光・生活の豊かさ向上・島暮らし体験・釣りなど普段できない趣味の没頭)を優先ー旅費は個人負担。 「できないものは、ない」 海士町のスローガン「ないものは、ない」と同じく、 ・100%できないものは存在しない かといって、 ・変えることに必要なパワー・時間に対して効果が少ないと思われることは「できないもの」として割り切って考えた方が良い ・やるしか、ない この考え方をワーケーションの解釈にも当てはめてみます。 企業合宿型:できないもの/承認プロセス・旅費予算・日数上限を変えること 個人型:できないもの/個人予算・日数上限・家族都合を変えること 海士町の場合は、 企業合宿型の場合、旅費予算に見合わせることが特に難しいと思われます。 よって、企業の中でも旅費予算が大きい層にターゲットを絞るか、出張の前後を延泊し観光するブリージャー制度を活用されている企業か、滞在自体が視察・出張になる企業にするか、がワーケーションが可能になる条件になります。 個人型は、条件面は柔軟性があるものの、アクセス面のハンデから、よほど海士町に興味がある方(移住/二拠点/地方活性化など)か、金銭/時間的に余裕のある層がよりマッチしていると思われます。 「できないもの、できるものを整理して見えてくるもの」 ここまでの検討から、海士町のワーケーションでは下記の3通りが主な提供価値になることを仮説に持ちました。 ・移住/二拠点生活など新しい暮らし方を検討される方のお試しプラン ・金銭/時間的に余裕のある層の生活を豊かにする滞在 ・デザイナー・建築家・経営者・離島での市場開拓を検討される企業の方が、視察目的など仕事につなげる滞在 多数の企業が旅費予算以内で存在する地域では、企業合宿型を推進することでしょう。 ワーケーションと一言に言えども、 それは、古くからの合宿の様相と、新しい過ごし方の一貫という両方の側面をもち、 これから個人と、企業と、地域とができないこと・できること・やりたいことの選択を繰り返すことで、形を変えていくのだと思います。 海士町では、観光戦略のひとつにワーケーションの推進をおき、 海士町の良さを、それを求めている方に提供できるように、準備を進めていくそうです。 他の地域の動きも含め、新しい働き方につながっていく取り組みにワクワクしながら、 自分はどうしたいかを考え、一緒にワーケーションを作って行けたらと思います。